開祖盛平翁と初めてお会いして早50年になります。やがて合気道が生活の一部になり稽古を通して毎回何かを感じ何かを考えてきました。
人が生き動く元になる「立つ姿」がいかに大切であるか痛切に感じています。
開祖のお言葉の中にも合気道は天之浮橋に立たなければならない。天之浮橋に立つことが合気道のはじまりといわれています。
私の師である山口清吾先生の言葉の中にも「合気道はまず、ただ素直に立ち、または座す。立つ、座すことを真剣に徹底すること、それはやわらかく、しなやかに、おもく、かろやかに、すべてに心を配り、そのまとまりの中心をもち、その意は“和”であり“愛”、“慈悲”、“祈り”でもありその現われでもある」と云われました。
実際に何気なく立っていることを考え直してみますと大変な要素が含まれています。心・気・体 すべてを調和させ、生理的にも精神的にも、大脳を通して整理して組み立て直しはっきりとした理合を感じなければなりません。
その基本として合気道の根本である「宇宙万世一系の理」、「魂・魄の理」、「表裏の理」をたずねれば何たるかを理解できる方向が見え稽古の中に、日常生活の中に活かし、立ち姿が基本として大切にしなければならないことがはっきりとします。
当道場に入門される方々には老若男女関係なく皆さん楽しく愉快に礼儀正しく人生相談をしながら上達しています。
平成十三年十一月二十七日
合気道研修会道場長 山本益司郎